女流書家:永田紗戀
書女: http://www.saren.net/

 裏・書女




9月17日敬老の日に
祖母が天国へ逝きました。

明け方のことで、病院の大きな窓からは
ピンクの雲がふーっとすごい速さで風に流れていました。



その二日前くらいから
病院へ行っても、寝たままでした。
何か喋っていましたが、何を言っているのか、わからず
起こすと、本人が辛いので
寝ている祖母の横で花を活けていました。



亡くなるその日
私はちょうど、妹の家で飼い猫「とろ」の世話をしに行き
妹は仕事で大忙しでした。


妹が帰宅し、二人で
なんとなくしみじみと色々と話したことを覚えています。


夜は夜で、ゆったりとして0時にはベッドに入りました。
明け方3時過ぎ、看護婦さんから電話がありました。


それはそれは、あっという間の出来事で
祖母は寝たまま向こうへ逝きました。



苦しむこともなく、穏やかな顔。



祖母を触ると
ここには祖母はもういないんだなぁと
祖母であって祖母でないような、不思議な感触がしました。




「良かったね、おばあちゃん」
涙も出ず、泣いている家族の中で
私はひとり笑って祖母の顔をなでました。




亡くなる前、祖母はとても苦しんでいました。
もう、この苦しみを文章にすることも、人に言うこともできないと
私はしばらくネットでも介護の分野からは遠ざかろうと想っていました。




それくらい辛そうだったし
人間が死ぬということと生きるということの
「もがき」は最期まで永遠のテーマなのだと感じていました。





本音を言えば、私たちはとても辛かったです。

妹は飼い猫がエイズという病に襲われ
祖母の病院にも毎日行くことも出来ず
とても苦しんでいました。

でも祖母の様子は私が毎日電話で報告できたし
何より祖母は自分のことより
「とろ」のことを心配していたので
それがおばあちゃんの為であると
私たちは二人でそれぞれ支えあいました。




今年はずっと病院と介護との連続で、それは耐えられました。
けれど、祖母の苦しみを見るたびに
私はとても、とても、辛かった。




祖母が逝く。




それは頭ではわかっていたけれど
事実、祖母の顔に白い布がのったとき
心の奥底から自分の生きるテーマを失ったと感じました。



辛いという感覚ではなく、腑抜けになるという感覚です。



我が家は親戚がいないので
密葬というかたちを取り、告別式だけ行いました。



私がフリーになってから
ずっと少しずつ貯めていたお金
妹が私の書く紙をきれいに切ってくれ
事務仕事を代わりに丁寧にこなしてくれ

支えあってみなさまから得た
大切な感謝すべきお金を
自分たちの腕だけの
皆様からいただいた大切なお金で
全て葬儀を行いました。



自分の祖母への感謝を締めくくりたいと想ったからです。



あっという間に、それは終わりました。
とてもいい一日でした。
涙もたくさん流して、祖母の笑い話でみんな笑いました。
それはとても晴れた日で、私が祖母と住んでいた街の海の近くで
祖母を送り出しました。



それから、初七日まで
正直私は変わってしまった人のように
淡々と過ごしていました。



仕事は普通にこなすものの、それ以上のことが出来ず
ブログなども怠ってしまいました。

夜になると、妹の家へ車を飛ばして
ふたりで絵を描いたりしていました。



ここでご心配をおかけしたことお詫び申し上げます。






毎朝、祖母の仏壇に手を合わせ
お茶を淹れて、お線香に火をつけて
祖母が楽しみにしてた、自分の日めくりカレンダーをめくります。


カレンダーは近日、ネットでもお知らせをしますが
祖母がとても仕上がりを楽しみにしていました。



私が以前ブログでも
ぜひ皆様に見ていただきたいと書いたものが
それです。
この仕事をして初めて
自分がやりたかったことを教えてもらった作品です。






背筋が伸び、朝を向かえ
ボーっと植木をいじったり、友達と会ったりと
まだ、祖母の時間がない今に慣れていませんが
これからゆっくりとがんばっていくつもりです。





手を合わす場所があるのは、いいですね。
心に温かい風が吹きます。





突然のことで
驚かれた方も多いかと想いますが
どうぞお許しくださいませ。





祖母の介護のことを
ブログなどで細かく綴ったり、
メルマガなどで現状を細かく綴ったり

たくさんの方に
私と逢ったこともない方々にも
ご心配をおかけしたことと、想います。



この場をお借りして
祖母の大往生を喜んでもらいたく、お伝えいたします。



本当にご心配をおかけしました。



そして、これからも
私たちらしく祖母のために
祖母に喜んでもらえるように
ゆっくりと自分のペースで歩いていこうと想います。








2007/10/1
感謝のことば

永田紗戀 永田マリ。